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Minitで一分間を繰り返そう

minitを購入しようってもとから思ってた人は期待通りのゲームなのでこんな記事読まないで即購入してください

 

制限時間があるゲームは数多くある。ゼルダの伝説~ムジュラの仮面~は三日間を行動し、勇者30は30秒を女神の力を使い延長してボスを倒す。今回とりあげるMinitは2Dゼルダライクのゲームだが、先ほど述べてたゲームの一種であり1分しか行動ができない。

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store.steampowered.com

主人公は人間なのかよくわからない、くちぱっちみたいな生き物。この生き物が浜辺に落ちてた剣*1を拾ったことで「一日一分しか活動ができない」という呪いにかかってしまう。主人公は呪いの制限を受けながら、解呪を目指して冒険に出る。

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とはいえ、主人公は特に勇者でもなんでもなく、かといって祖先が伝説を作り上げた人間でもなく、そもそもヒトかも怪しいただの生き物である。別に様々な魔法が使えるわけでもない。そんな彼は、様々な生き物の手助けをしながら様々なアイテムを獲得したりし、道を切り開いていく。

生き物たちは別に何も世界の危機とかそういうわけでもないので結構マイペースである。自分は呪いを受けてるのでテキパキ行動しなければいけないが、村の住人にとっちゃ知ったことがないのでどうでもいい話をするキャラも結構いる。

 

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個性豊かなキャラクターの話を聞くのもまた一興だが、呪いを受けてるということを忘れてはいけない。老人の会話は為になるかもしれないが、その口が開く速度は遅いので、話すスピードも当然遅い。このゲームは会話中にも平然と無情にも時間は刻刻と過ぎていくので「老人の会話を聞いてたら死んだ」「長文読んでたら時間が残り4秒だった」ということがざらにある。

幸いこのゲームでは『1分経つと最後で宿泊した場所でリスタート』と、デスペナルティが低いのでガンガン話を聞いていられるが、残り時間次第では話の途中でぶっ倒れてしまう可能性が出てくる。自身の行動時間と相談しながらの選択がこの冒険では必要不可欠だ。

 

 

時間制限のあるゲームは数多くあれど、minitが特にこだわっているのは『繰り返すことの楽しさ』だ。

まず、このゲームにはロード時間や無駄なムービーがかなり少ない。会話中に時間が過ぎていくというのはデメリットだが、裏を返せば会話をすぐ打ち切ることが出来ることでもあるのでわざわざ会話の度に相手の目の前で立ち止まる必要がない。更に言えば、このゲームに出てくるキャラクターはせいぜい1,2行しか喋らないので会話に1秒もかからないパターンが殆どなので、駆け回りながら話を聞くことも出来る。

 

リスタートに関してもサクサクだ。ロード時間なんて存在しないのは当たり前だが、このゲームには自殺ボタンが存在する。自殺コマンドではなく、自殺ボタンである。

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このため、上のgifのように「宿に入る→自殺→リスタート」を高速ですることにより、疑似的に時間と体力をリセットできる。自殺もリスタートもワンボタンなので、高速にリスタートしている間に押しているのは「B→A」のみである。

「無駄な行動してしまったな…」「あそこまで行きたいけど間に合わないな…」と思ったらすぐ自殺をすることでまた1分をやり直すことができる。元の場所に戻るのにかかる時間もゲームの仕様上、少なくとも1分はしないので気軽にリトライできる。

 

これらの仕様によりMinitは、ゲームにおける煩わしさ、失敗したときのもどかしさが少ない。会話するのに立ち止まるどころか、ボタンを押す必要さえない。失敗しても数秒でやり直せる。ムービーなんて殆どないからゲームの仕様に足を止められる必要なんてない。キー入力をすればキャラクターはいつでも動いてくれるのだ。

ゲームを投げるときは、主に「飽き」か「苛立ち」の2パターンだろうが、本作はその「苛立ち」の存在が薄く、常にサクサクと進めることが出来る。クリアするだけなら2時間もかからないので、私自身も初起動からぶっ続けでクリアまでプレイすることが出来た。一種の骨太なミニゲームをやってるかのような気楽さでプレイできるので疲れにくいのだ。

 

BGMについても触れておきたい。コンポーザーはJukio Kallio氏で、CelesteのB面のアレンジやBLEED2のコンポーザーとして名が知られている。彼のスタイルは言わばピコピコ音を用いたChiptuneで、このゲームのドット絵にマッチしていて気持ちがいい。フィールドごとにBGMも変わるのだが、特に砂漠フィールドのSabasaba Desertは故郷から出た後のステージだけあってさすらい感があってカッコいい。

jukiokallio.bandcamp.com

ちなみにフィールド曲は基本1ループするのに2分半だったりと1分以上かかるBGMだらけであり、プレイ中にフルで聴くのは不可能である。しかし、リスタートするときに流れ始める位置は2パターンに分かれており、疑似的にフルを聴くことが出来る。リスタートする度にBGMのパートも変わってるので、『同じ一分を繰り返している』という退屈さを感じにくくなっているのだ。

 

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UndertaleやOneShot、Shovel KnightにCelesteと様々な良質で手堅いインディーズゲーが数多く出ている素晴らしき昨今だが、その骨太さ・良質さ故にワンプレイが疲れるという贅沢な悩みが出てくる。

Minitは確かに良質だが、難易度も低く主に使うのは2ボタンだけ。膨大なテキスト量で裏の裏を書いた複雑すぎるストーリーではなく、わかりやすく明確なストーリー。キャラも愛嬌はあるが繊細なドット絵ではなく見てて疲れない。キャラクターたちのセリフもどこかゆるく、遊ぶことに対して脳が疲れを感じにくい。

 

ゲームをプレイという娯楽に対し、疲れを感じさせてしまう、あるいは感じさせるゲームはよくある。その疲れの原因は、ゲームの複雑さか、あるいは高難易度さか。ストーリーの憂鬱さか。良質なゲームの場合、その疲れはそのゲームたらしめるために存在する場合が多いだろう。何らかの経緯で疲れを心地よさに変換できたとき、その心地よさは格別なものだ。

ただ、やはり「疲れを感じる」ためにゲームは遊ぶものではなく、その疲れが心地よさに変換される前にゲームを投げてしまうことも仕方ないことだと思う。一旦投げてしまったゲームに再び手を出すのはなかなか難しい。

 

Minitはそんな疲れを感じさせるゲームとは違い、とにかくストレスを感じにくいゲームだ。一周も2時間かからないので投げ出すことはまずないだろう。「疲れを感じさせるゲーム」を否定するわけでは勿論ない。むしろCelesteをはじめ、ドンキーコングシリーズのような高難易度なアクションや、OneShotのような斬新なストーリーのゲームも大好きだ。数多くのゲームをプレイし、ゲームで疲れを感じることに慣れている。だからこそ、Minitのようなサックリとしたゲームが楽しめるのだと思う。柿の種を黙々と食べるように、サックリしてるからこその嬉しさ・楽しさをMinitは味合わせてくれるのだ。

 

現状日本語に対応していないが、英文もかなり少なく文としての難度は中学生レベル。そもそもセリフをしっかり読まなくても結構進められるゲームなので英語故のハードルは低い。1000円以下で販売されているので手軽に手を出して、「1分の繰り返し」によるメリハリを手軽に楽しんでほしい。

余談だが、Game Maker Studioで作られているのでSwitchへの移植は現状厳しく、GMSのSwitch自体が夏以降なので移植されるとしても長いこと待つことになるだろう。

 

*1:夢をみる島のリスペクト