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【ネタバレ込み】ドラゴンクエスト Your Storyは賛否両論になるべくして作られた映画だった

賛否両論になりそうな部分について自分の感想

主人公の性格がカスな理由

あくまで『リュカ』を作成したプレイヤーであって自分ではないから物凄く納得した。そもそもドラクエ5VRでやろ!ってなるやつがキモオタではないわけがない

幼少期をカットしたこと

幼少期はドラクエ5大人編のストーリーの土台になる重要な要素だけど、正直既プレイヤーにとってはサンタクロースの洞窟はやり直すたびにめんどくさいな~って思うからスキップしたくなる気持ちがわかる。更に幼少期はビアンカとの思い出が多く作られて結婚イベントで(フローラか…?いや思い出の多さからしビアンカと別れるの無理だな…)ってなるから幼少期をカットしてビアンカとの思い入れを消そうとしたプレイヤーの心理が見えて結構好き。

主人公はビアンカ派なんだけど、ビアンカ派は大体キラーパンサーの名前ゲレゲレにしてるよね…とこもあるある要素かな?

後映画の尺の都合上というのもあると思う。映画開始5分は「え!?カットしちゃうの!?」と思ったけど見ていくと納得。

仲間がスライムとキラーパンサーしかいないこと

おそらくYour Storyというタイトル上、視聴側が使わない仲間を可能な限り削除した結果寂しいパーティーになっちゃったんだと思う。ドラクエ5は馬車使えば8人までは連れていけるので強い魔物(スライムナイトのピエール)とかはパーティーとして描いてもよかったんじゃ?と思わないことも。

この世界が仮想現実という設定にしたこと

凄く良くできてると思う。

そもそもドラクエ5ってかなり重厚で壮大なストーリーで2時間で表現できるわけがなく、大人期だけでも2時間じゃ足りない。だからこそ幼少期を端折った理由を『プレイヤーがビアンカと思い出作ってしまうことで結婚のときにビアンカを選択するのを防ぐため』という名目でカットできるし、映画自体も名場面寄せ集めみたいな展開でざっくりとした説明であっても「プレイヤーは展開を既に知ってるから雑説明でも伝わる」という理由が出来…とゲーム・小説原作映画ありがちの「何でここカットしたの?」という説明が上手くできる設定だなと思う。

あとさりげない「モンスターが死んだときに消滅する」というファンタジー世界ということを置いても不自然な現象にも「ゲームだから…」という理由が作られている。

 

 

ドラゴンクエスト Your Storyは夏休みに公開された映画とは思えないほどの挑戦的な設定で賛否両論になっている。正直ドラクエ5がそのまま映画化されることを期待してた人からしたら失神してしまうレベルだと思う。

でもこれが2時間でドラクエ5を表現できる限界であると思うし、原作ありきの映画を作るにあたって現れる問題を解決するための一つの設定だと思う。

 

2時間でドラクエ5を表現する。はっきりいって無理難題であり、例え忠実に再現しても「まぁ原作のほうが面白いし映画は超えられないよな…」って評価になってしまうと思う。

そこであくまで原作を忠実に表現するのではなく、オタクをぶん殴ることによって「何でここを表現しなかったんだ!」「幼少期はベラとかも含めてドラクエ5に必要だろ!」といったある意味怒りや悲しみにも近い感情を抱かせることでドラクエ5を思い出させている。自分も映画を見終わって5分間は(あそこのストーリーは必要だったと思うな…)と思うことで自然にドラクエ5の記憶を思い出していて、「自分って思ったよりドラクエ5のこと好きだったんだな」と思わされた。そもそも監督がドラクエ5をあんまり知らないから下手に表現するよりも視聴側に想像させる側に徹底したのかもしれないが。

 

勇者がムカつく感じなのもなんかスルスルと顔にウンコ塗り始めるのも「既プレイヤーだからこれからすることがわかってる」が故のウザさだし、映画で表現されたドラクエ5の世界が仮想世界と明かされたときは驚きはしたし「は?」と思ったが、そう思うとかなり伏線貼ってあったなと納得できる設定である。見てるときは「俺が操作してた主人公はこんなにウザい性格じゃないんだけど…」って思ったが、別の、そして既プレイヤーが操作してたと思うとかなりしっくりきた。

 

ストーリーが急展開すぎる!という気持ちもわかるし、ドラクエ5を期待してたのに!という気持ちもわかる。ただこの映画のタイトルは「ドラゴンクエスト Your Story」であり、ドラゴンクエスト5というタイトルではないので初めから表現するとは言ってなかった。ドラクエ5を思い出させる、更に言えば「ドラクエ5のYour Storyを思い出させる」にはこの設定じゃなきゃ無理だったのだ。映画の8割を不愉快さで味合わせても、残りの2割でこの映画に求められていた「ドラクエ5は良いゲームだった」「こんな思い出があった」と思わせることに成功しているだけで良い映画だったのではないか?と思う。

 

アクションとしてはかなり良くできてたし、ドラクエのモンスターが3DCGで綺麗に描かれているのは映像作品としてよくできてると思う。勇者やストーリーの雑さも「既プレイヤーが体感している感覚」を表現していると思うとかなり辻褄のあった脚本だと思う。破綻しているようで実は破綻していないのだ。

 

夏休みに公開する大衆向け映画としてはあまりに挑戦的な内容の本映画。ドラクエ5を好きだったオタクだからこそ傷ついたが、傷ついたことで自分がドラクエ5が好きだと思いだした。原作ありきの映画としては十分に目的は達成できているし、ドラクエ5を遊んでたからこそこの様々な感情を抱けた。凄く幸運であったと思うし、この映画は奇作であると同時に良作であると判断した。映画の広告もあえてこの要素を一切匂わせずパンピー向け映画を装ったが故にできた体験である。ドラクエ5好きには是非ネタバレなしで見に行ってもらいたい映画だ。

 

 

でもスライムが人間の言葉を喋ったときはあまりのことにショック死しそうになりました。すぐ「私もプログラム!」って話してくれたことで思い出を破壊せずに済みましたが…